平成12年度介護保険制度と介護老人保健施設のあり方に関する検討会 報告書
介護保険制度の推進と介護老人保健施設の役割ー21世紀の社会保障制度を目指して 6 ー

第4部 徘徊老人対策に関する調査研究事業


目次

1.調査結果の概要

2.調査の目的

3.ファクシミリ調査実施の概要

4.ファクシミリ調査単純集計表及びグラフ

5.ヒアリング調査実施の概要

6.ヒアリング調査結果概要

7.追加調査結果概要

8.調査結果のまとめと今後の方向性

別添資料
 ・追加調査自由記述
 ・ヒアリング調査議事録

1.調査結果の概要

・ 過去三年間(平成10年度?平成12年度)の、無断離設(離苑)の発生は、調査対象施設(FAX調査回答施設)1308施設のうち、77.4%にあたる1013施設で、無断離設(離苑)が発生したとしている。

・ 直近の、平成12年度の無断離設(離苑)の発生状況は、入所者の場合「1?2件」が47.8%と、半数近くを占めており、通所者については1「1?2件」が四分の一弱の24.6%となっている。

・ 日常生活自立度が比較的軽微な入所者・通所者の無断離設(離苑)が目立つ。

・ 無断離設の発生件数と入所歴との関係については、入所歴が短い程発生件数が多いという結果になっている。

・ 発生時間帯についてみると、入所者は午後の発生が、通所者は午前中の発生が特徴的である。

・ 発生から発見までは、2時間以内が6割以上、3時間以内が7割と、比較的短時間で発見されている。

・ 発見場所は、施設周辺もしくは、本人の自宅及びその近所が多数を占める。

・ 発見者も、施設周辺での発見が多いことを反映して、施設職員が半数以上となっており、また、住民による通報も1割以上となっている。

・ 無断離設(離苑)発生時の、事故の有無に関しては、9割以上が特に異常なく見つかったとしている。

・ 無断離設(離苑)の予防策として、実際に導入されているのは、「施設構造による無断離設(離苑)防止」が最も多く、半数強である。ついで、「職員による担当制度による管理」「施設の出入り口での外出管理システム導入」が4割弱となっている。

・ また、無断離設(離苑)が発生した際の対応の準備状況としては、「ミーティング等で対応を話し合っている」が8割となっている。また、「無断離設(離苑)の対応マニュアル」が3割、「関係機関・団体との連絡網の整備」が2割となっている。


2.調査の目的

老人保健施設が創設されて10年経過したが、その施設整備は着実に進み、全国2,500を越える施設が整備されるに至っている。
21世紀の本格的な高齢社会においては、寝たきり老人の増加とともに痴呆性老人の増加が懸念されているが、今後施設が急増することにより、施設内での事故も増加が予想される。
平成11年度「老人保健施設における事故対策マニュアル作成に関する研究事業」においては、老人保健施設における事故として、「転倒」「誤飲・誤嚥」「離苑」が大半を占めることが明らかになった。
とりわけ「離苑」については、老人保健施設の入所者に占める痴呆性高齢者の割合が高くなっており、かつ、痴呆の重いケースが増えているために発生の確率が高まっていること、一度離苑が発生すると解決するまでに膨大な人手を要することなどを考慮すると、早急に有効な対策を講ずる必要に迫られていると考えられる。
他方、近年の情報通信技術の発展により、徘徊探査システム・機器等の精度や価格・実用性が高まっており、様々な商品が開発されているところである。
本調査研究では、老人保健施設における離苑・徘徊の実態や背景等を詳細に把握した上で、具体的な予防策を検討するとともに、各種予防策の有効性を実証実験によって実際に検証していくことを目的とする。
また、老人保健施設だけではなく、一時帰宅などの場合の自宅における徘徊も調査研究の範囲に含め家族の介護負担の軽減に資するものとする。
本調査研究は、上記の目的に照らして、全国の老人保健施設における徘徊の実態把握を中心として調査を実施し、徘徊対策立案のための基礎資料とする。